大阪大学の宮崎慶次名誉教授が今朝の朝日新聞でこう語っている。
「原子力関係者として想定外だったということは決して言い訳にならない」
その通りだ。原子力を学んだ人間なら、核事故防護の基本として仮想事故という概念を知っているはず。技術的に考えられない事故をも上回る事故を想定して防護策を考えるという考え方である。想定できる範囲を超えて考えよということである。つまり想定外だったなどということは許されないのである。
緊急炉心冷却装置(ECCS)がいざという時には働かないのではないか。そういう想定は私の学生時代からあった。今回も働かなかった。でもこれは想定内である。ECCSが動かなくても安全に炉を止めるためにいくつかバックアップがある。今回それも動かなくなった。バックアップも動かなくなった場合どうするか、が仮想事故の対応である。海水の注入は考えうる最後の手段だが、その次、またその次の手段を考えておかねばならない。
考えうるすべてのことを考えておけ。原子力を学んで私はそう教えられた。
今回津波の想定高さは5メートルだったそうだ。この程度の津波なら想定範囲内である。歴史上前例がない巨大地震や巨大津波を想定して対策を考える。これがかつて原子力関係者の基本的立場である。宮崎さんの言葉が原子力の現場で忘れられていたのかもしれない。
アトムさん
5メートルという数字は情報源が定かではありません。ニュースで聞いたのかネットで読んだのか記憶が定かでありません。想定が何メートルだったのか直接確かめたわけではありません。実際原発を襲った津波の高さもまだホントのところは分かりません。でも想定を超えていたことだけはたしかでしょう。
投稿情報: junhara | 2011年3 月17日 (木曜日) 15:14
想定した高さが5メートルって、あまりにも想定が低いと愕然とします。
設計そのものよりも設計の前の段階から間違っています。
原子力発電は必要だと思いますが、スタート地点から間違っているように思います。
投稿情報: アトム | 2011年3 月17日 (木曜日) 13:53
三陸の津波の過去最高波高は38mだそうです。想定するなら、38mじゃなきゃならなかった。想定外を想定するのが、「安全」を絶対に近づけるんじゃないかと思います。わたしは工学系じゃないけれど、「想定外で済ませるな」は納得できます。
それにしても、東電本社の人や保安院の職員は、なんで現場に行かないのかな。
投稿情報: 佃 均 | 2011年3 月16日 (水曜日) 22:59