元外務官僚で元原子力委員会委員長代理の遠藤哲也さんの講演を聞いた。何も心に残らなかった。来年夏の電力不足を心配していた。脱原発が世界の潮流であるがごとく報道する朝日新聞を批判、脱原発は欧州のごく一部の国々であることを強調した。原子力ムラの閉鎖性を指摘、そこには第三者の意見に耳を傾けない嫌いがある、とも語っていた。自分もそのムラの一員だったことへの反省の言葉はなかった。
これが原子力委員会の委員長代理か、とあいた口がふさがらなかった。講演後会場から出た質問コメントの方が原発問題の核心を突いていた。ある女性が子どもへの放射線の影響について質問した。答えは低線量の放射線は健康に良いという学説を紹介していた。核が開発されてまだ半世紀余しかたっていない。低線量被曝の長期的影響について科学的、医学的結論はまだ出ていないと答えるのが原子力委員会元委員長代理の誠意というものではないか。
元外務官僚らしく、海外の目ばかり気にしていた。低レベル放射性汚染水の海洋投棄は国際法上問題はない、といいながら、アジアの隣国には事前に通報すべきだったと語った。それには同意するが、一方で、定期点検が終了し、再稼動を待っている原発を稼動させるには地元自治体の同意がいるのはおかしいと、自治体が稼動を拒否する法的根拠はないとも語っていた。外国には国際法以上の外交的配慮を求め、自治体には原発稼動を拒否する法的権限はないという。自分の発言が矛盾していることに気づかないのだろうか。
法学部出身の元外務官僚だから仕方ないか。こんな原子力委員ならサルでも務まる。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。