14日朝日新聞の世論調査で、国民の74%が「原発を段階的に減らし、将来はやめる」ことに賛成した。原発利用に賛成する人は37%、反対は42%だった。原発利用に賛成する人のうち、63%が「将来はやめる」に賛成した。
事故後1ヶ月の世論調査では「原発を減らす方がよい、やめるべきだ」が計41%、「増やす方がよい、現状程度にとどめるべきだ」が計56%だった。質問が違うため単純に比較はできないが、傾向としていえるのは、事故直後まで原発肯定派が過半数を超えていたが、事故後3ヶ月で賛否は逆転し、原発反対派が多数になった。
この間に何があったのか。世論を変えた要因は何か。容易に推察できることは、原発事故の怖さを国民が知ったからだ。直接の死者が出ているわけではない。計画停電は夏にも実行され、生活は不便になるかもしれない。経済は停滞し、失業が増えるかもしれない。それでも原発はもういらないと考える人が増えた。
原発災害の深刻さは死者の数では定義できない。放射能で土地を奪われ職業を奪われ、家族が散り散りになる。被曝への恐怖もある。時間がたつに連れ、災害の実態が理解されてきたのだ。国民とは真実を知るまでにずいぶん時間がかかるものだ。
一方、イタリアでは国民投票で原発凍結賛成が94%に達した。事故現場の日本から遠い国の方が原発事故に敏感な反応を示した。ベルルスコーニ首相の不人気も手伝っているのかもしれないが、同首相支持率は菅首相の支持率よりは高い。それでも圧倒的に原発反対が多い。この違いは何か。原発依存度がもともと低いからか。停電の心配がないからか。原発なんかなくても心配しない楽天的な国民だからか。
ドイツ人、イタリア人に比べ、日本人は状況を理解する速度が遅いのか。いや、恐怖に案外鈍感なのかもしれない。
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