インターネット上でいろいろなサービスを受けたり、ショッピングをしたりするとき、いちいちIDやパスワードを入力し、さらに氏名、住所、年齢など個人情報を入力させられるのは、面倒なものです。一回信頼できるサイトで本人確認してもらい、あとはネット側で情報を交換してくれれば、その手間が省けるはずです。
しかし、ネット側が勝手に個人情報をやり取りしたら、プライバシーの問題が出てきます。安全で確実にプライバシーを侵害せずに、本人確認ができないか。そんな発想で生まれたのが、リバティーアライアンスです。世界各国の企業、政府機関などが非営利の組織を作り、安全かつ信頼できる標準を作ろうとしています。分かりやすい言葉でいうと、ネットのどこに行っても一発でサインオンできるシステムを構築しようというのです。
そのシステムが少しずつできてきました。社内の出張清算システムと航空会社の予約システムを連携させ、一発で予約、発券、会計処理ができるようにもなります。ピザ屋さんにピザを注文すると同時に別の飲みもの屋さんのサイトで飲みものを注文する場合、本人確認を同時に済ませてくれれば便利に違いありません。
このアライアンスは2001年にスタートしたのですが、実用化まであと一歩です。都内のホテルでその実用実験の展示があったので見てきました。それが、出張システムとピザ注文システムです。
標準は公開され、だれでも使えるようになっています。数年以内に便利なサービスとしてネットに登場してくるはずです。
しかし、よく考えてみれば、これって住民基本台帳ネットで政府や自治体が国民相手にやろうとしていることと同じです。テニスコートの予約をしたり、図書館から本を借りたりする時、こういうシステムがあれば便利です。住基ネットは住民に住基カードを配って本人確認する方式ですが、毎年数百億円の維持費がかかるそうです。住基カードが騙し取られる事件も起きています。システム構築もけっこう高くついているのではないか心配です。
リバティーアライアンスはどのような機種でも相互接続できる確認をしている最中ですが、民間でできたこういう仕組みを政府や自治体が採用したら、安全で安上がりな本人確認システムができ、市民は便利なサービスを享受できるのではないでしょうか。
聞くところによると、フランス政府はこれを採用する方向で、米国でも国防省などが採用を検討しているそうです。官がやることが信頼できるとは限りません。住民の情報が官からけっこう漏れている事件も報道されています。一部のベンダーだけが儲かるeジャパン計画はもう時代遅れではないでしょうか。安くて便利で安全なシステムがあるなら、官もそれを採用する器量が必要でしょう。特に財政が困窮している自治体はこういう方式も検討に値するのではないでしょうか。
リバティーアライアンスのウェブサイトのURLを載せてもらうとよかったです。
http://www.projectliberty.org/jp/
でしょうか。
「一部のベンダーだけが儲かるeジャパン計画」というのが気になりました。そうなんですね。知りませんでした。それはできることなら阻止したいです。
投稿情報: おぐらじお | 2004年10 月20日 (水曜日) 16:10