ベストセラーになっているので知っている人も多いと思いますが、私も読んでみました。白石さんは東京農工大学生協のひとことカードの担当者です。ひとことカードとは学生の生協活動に対する要望や質問に回答するもので、生協の入り口に張り出されているそうです。そのやりとりがおもしろいとblogに転載され始め、有名になったそうです。朝日新聞も記事にしました。詳細は「生協の白石さん」(講談社)という本に譲りますが、私がこの本を買ったのは、blogが白石さんを有名にしたからです。白石さんはいまでも紙に回答を書くアナログ人間。ご本人はblogを持っていないのです。有名になったのはblogが勝手にひとことカードを転載し始めたからだそうです。普通なら勝手に転載するなと怒るところですが、まじめな転載、引用に白石さんが理解を示し、承諾したらしいのです。
もうひとつ。耐震設計偽装問題の告発を続けるblog「きっこの日記」も有名になりました。だれが書いているのか分かりませんが、メディアはここの情報を元に取材をしているともいわれます。一人でよくここまで書けるなと感心します。インサイダーかそれにごく近い複数のひとが関与しているのでは、といわれるゆえんです。
いずれもblogが社会的影響力を持ち始めた実例です。すでに400万人以上がblogを開設しているといわれます。でもそのほとんどは個人的日記であったり、ポルノ関連であったり、社会的影響力を持たないのが実情です。その中で、こうした実例が出てきたことは何かが変わり始めたことを予感させます。
私がblogを一緒にやろうと誘っても乗ってこなかった親友のアナログ派ジャーナリストが最近blogを始めました。私の通う大学でも、講義に出席する学生の半数はblogを持っています。
「ブログ世界を変える個人メディア」(朝日新聞社)の著書であるダン・ギルモアに会った時、こういったことがあります。「日本はほとんどのblogがポルノか趣味の範囲を出ていないから、世界を変えるにはあと5年はかかるだろう」。ダンに見通しの誤りをわびねばならないかもしれません。
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