内視鏡手術の事故情報を集め、医師同士でそれを共有することで、手術ミスを未然に防止する情報ネットワークJESNETが閉鎖に追い込まれた。このblogでも2003年11月17日に紹介したネットである。
発足当時から、医師が自分のミスを公開したがらない、情報システムにカネがかかる、協賛金が集まらない、などの苦境が続いていたが、年月を経ても問題は解決できず、このほど閉鎖が決まった。
情報共有といってもblogなど安上がりの手段があるから、維持費は問題にはならないはずだが、事務所とサーバーを提供していた企業が赤字に耐えられず、閉鎖を申し出ていた。
もっとも問題だったのは、医師の協力が得られず、共有するべきミスのデータが集まらなかったことらしい。その理由はミスが少なかったからなのか、情報の出し渋りなのか、よく分からない。会員も増えないから会費収入も伸びず、財政は好転しなかった。
インターネットの普及で情報共有は簡単になった。だが、情報の出し手がいなければ事故防止情報システムは何の役にも立たない。自分にネガティブな情報でも、事故の未然防止のために公開し共有できるようにするには、どうすればいいのか。これは何も医療事故に限った問題ではない。エレベーターにせよ、回転ドアにせよ、小さな事故情報を集め、分析し、事前に対策を打っていれば、大きな事故は回避できていたはずである。
事故防止情報システムを有効にするためには、事故防止に役立つ情報を進んで提供した人には免責を与えるとか、役立つはずの情報を故意に秘匿した人には罰則を与えるとか、何らかのインセンティブを真剣に考える段階に来ているのではないか。
はじめまして
投稿情報: medical teknika | 2006年11 月 6日 (月曜日) 03:12