関西テレビの番組(あるある大事典Ⅱの1月7日放送)にねつ造があることが分かった。納豆にダイエット効果があるという内容で、放送直後、全国のスーパー店頭から納豆が消えるという騒動も引き起こした。
関西テレビのホームページにお詫びが掲載されている。http://www.ktv.co.jp/070120.html
納豆買い占め騒動を引き起こしたお詫びではない。番組内容がでたらめだったというお詫びである。
読むと、番組で使ったデータはほとんどでたらめだったことが分かる。よくもまあこんなでたらめができるものだ、とあきれる。テレビのやらせが一時問題になったが、やらせより悪質である。事実がないのに事実のように放送したのだから。他のまじめに制作した番組まで不信感を買う恐れがある。1テレビ局の問題ではない。責任者はただちに辞職すべきである。
大学でメディアリテラシーの講義をしているが、納豆が店頭から消えた時点で、こんな話をした。
石油ショックの時、千里ニュータウンでトイレットペーパー買い占め騒動が起き、それが全国に波及した。石油がなくなることと、メタボリック症候群への社会一般の不安。手軽に買えるトイレットペーパーと納豆。メディアが火をつけ、全国に広まったこと。これらがよく似ている
石油禁輸で原油が輸入できなくなることとトイレットペーパーがなくなることとは、ただちには結びつかない。原油がなくなるならまずガソリンや灯油を買い占めるのが理屈である。水洗トイレの普及と関連づける解説もあるが、身近な生活と直結した商品であること、手軽に買える商品であることが、買い占めパニックを引き起こした底流である。納豆騒動も同じ社会的背景がある。
社会学的分析はどうであれ、今回の騒動はメディア側、視聴者側ともその行動はお粗末きわまりない。いつまでたっても日本人のメディアを読み解く力、リテラシーが確立しないことに驚く。かえって退歩しているのではないだろうか。
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