週間ダイヤモンドに続いてNHKも朝日、日経、読売の共同ニュースサイトANYについて報じた。ANYは成功するだろうか。ある程度の成功は見込めるが、ネットへの決定的逆襲は期待できないと私は考える。
成功すると見る理由はいくつかある。新聞社のニュース収集力はやはりどのメディアにも勝っている。相乗りすることで、ネットニュースの一覧性が高まり、使い勝手のよいニュースサイトになりうる。各社の記事比較が簡単になり、各社の主張が鮮明になる。それによって読者の新聞記事への信頼が高まる。結果的に若者の新聞離れを阻めるかもしれない。
一方、効果は限定的と考える理由もいくつかある。
共通サイトの編集権はどこが持つのか不明だが、どこが持つにせよ、編集権をめぐって3社の思惑がすれ違い、連携が早晩破綻するかもしれない。仮にサイトがうまく運営されたとして、どれくらい集客力があるか疑問が残る。新聞社のニュースサイトは当初は集客力はあったが、インターネットに多様なコンテンツが集積されるにつれ、ニュースサイトの集客力が相対的に低下しているからだ。ヤフーなどに比べ、ニュースだけでは集客力に自ずと限界がある。
したがって共同サイトの広告収入は以前より高まると見られるが、ネットに奪われた広告収入すべてを回復できるとは思えない。
3社共同サイトが実現したら、併読する読者が減少するのは間違いない。それを阻むには共同サイトには記事全文を掲載しないという方法しかない。となれば、共同サイトの魅力は半減する。
共同サイトが無料なのか有料なのかは分からないが、購読は無料で広告収入に依存するモデルしかないと思われる。だとすると3社でどのように収益を配分するのか。記事や広告のヒット数に応じて配分するのか、各社独自の価格を採用するのか、難しい協議が待っているはずだ。従来、朝日は書籍や不動産広告で高い広告単価を設定してきた。その優位をこのサイトで放棄するとは思えない。協議が暗礁に乗り上げ破綻するかもしれない。
対グーグル戦略が見えてこないのも不安材料である。共同サイトがグーグルの検索対象である限り、サイトの魅力は限定的にならざるを得ない。グーグルには検索させないという決断ができるとも思えない。
結果として共同サイトをつくっても新聞の危機を救う手だてになるとは思えないのである。
個人的にはこう思う。共同サイトを有料化する。共同サイト以外にはいっさい記事は配信しない。記事以外のコンテンツを充実させ、場所貸しビジネスにも手を広げる。独自の検索エンジンを持ち、グーグルより信頼性の高いニュース検索サービスを共同サイトにとりいれる。思いつきだけの共同サイトでは失敗する。それくらい時代の大転換期であるとの認識を新聞経営者が持っているかどうかだ。
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