NHKスペシャル「激流中国 小皇帝の涙」を見た。何か変だぞ。どこかで見た記憶がある。すぐに思い出した。数日前の深夜に見たBS再放送の33カ国共同制作「民主主義」という番組だった。編集順序やナレーションは違うが、映像はほとんど同じだった。
同じ映像を利用して一方は中国の子どもが置かれている過酷な受験競争を描き、一方は子どもが民主主義の手続きを(といっても中国的民主主義なのだが)踏んで学級委員を選ぶ過程を描いていた。
どちらが1次映像なのかは知らない。33カ国共同制作の映像をどこの国のスタッフが撮影したかも知らない。著作権の権利はクリアしているだろうが、同じ映像でまったく違う番組を創り上げる手際の良さに感心してしまった。どちらがコピーかはわからないが、コピー番組の制作者は良心が痛まなかっただろうか。
同じ映像でまったく違う番組ができることはある意味で恐ろしい。新聞ではありえない。昔、問題になったやらせ番組よりタチが悪い。
受験競争に明け暮れる子どもたちが学級委員選挙をしたのだから、どっちに使ってもいいではないか、と反論されそうだが、番組の信頼度に関わる問題である。同じような使い回しがニュース映像やきわどい問題のドキュメンタリーでもやられているとしたら、テレビは一気に信頼を失う。視聴者はどこで何を見せられているか分からない。
それがテレビというもんさ。コンテンツを使い回さないとコスト削減ができないのだよ。そんな声がテレビの向こう側から聞こえてきそうだが、テレビとはあな恐ろしや。
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