大手製紙会社が古紙混入率を偽装したとして批判されている。コンプライアンス(法令遵守)違反と消費者への裏切り行為だそうだ。昨年の食品偽装を連想させる報道ぶりだが、食品偽装と同列に論じていいのだろうか。
まず、表示より品質の良い製品を納入していたのだから、詐欺的行為といえるのだろうか。環境派はリサイクルの偽装だというが、一連の行為がどれくらい環境悪化につながったのだろうか。
紙は昔から古紙が利用されてきた。わが国では、新聞紙の場合40%だといわれている。トイレット・ペーパーは100%だそうだ。それでも世界で最も上質の新聞紙、トイレット・ペーパーが生産されている。海外で日本よりきれいで柔らかいトイレット・ペーパーにお目にかかったことはない。
製紙会社に混入率40%の再生紙ハガキを製造する技術がないとは思えない。異物を取り除くのが難しそうだが、かねて再生紙と上質紙の品質にそれほどの差がないことに疑問を持っていた。ここまで白い再生紙ができるなら、全部再生紙にしてもおかしくないはず。一連の報道を読んで次々と疑問が浮かんでくる。
最近中国の古紙輸入が急増している。90年代は古紙を出す方がおカネを払って引き取ってもらっていたのに、最近では道路に置いてあった古新聞まで何者かが持っていく事件も相次いでいる。そもそも製紙会社は必要な古紙を確保できているのだろうか。どこも報道していない。
政府が購入する物品のリサイクル率を決めたグリーン購入法というのがある。今回の事例は同法に抵触するおそれがある。だが、古紙のリサイクル率は先ほどの例のように時代とともに変動する。それを一定に保つのはかえって在庫を増やしコスト増を招くのではないか。変動するのなら、毎年古紙混入率を見直すことも必要なのではないか。なぜ製紙会社は購入側と交渉しなかったのか。
工場で発生する損紙が再生紙利用にカウントされないのはなぜなのか。新聞社でも輪転機から発生する用紙のハギレを利用して原稿用紙にしていた。損紙を利用しないのはそもそももったいない。いずれも製紙業界については素人の素朴な疑問である。
法律は守られなければならないが、法律が実態にあっていないなら、改正を働きかける。それが本当の法令遵守だと思うのだが。
ええこと言ってくれはりました。
製紙会社なんです。物作ってるんです。
均一な原材料があって、均一な製品が作れると思います。
それから、リサイクルと○○のひとつ覚えと言って人に言いたい。トイレットペーパーに古紙混ぜたら、そこで止まってしまう。
便所紙はパルプ100%にせなあかんとちゃう?
投稿情報: はじめ | 2008年2 月 5日 (火曜日) 19:24
ma-kunさん
コメントありがとうございます。
例えは的確ではないかもしれませんが、こう考えることもできます。
環境に良いから中古車を買おうとしたら、ディーラーは新車を持ってきた。「この方が排ガスも少ないので環境に良いはずです」。
これは顧客をだましたことになるでしょうか。
中古は新しい資源を消費しないから、環境には良いはずです。しかし排ガスは多い。中古、新車どちらにせよ、何年間にどれくらいの距離乗るのかで、どちらの環境負荷が多いか、すぐに答えは出ないでしょう。
環境配慮に反対しているわけではありません。ただ環境問題をひとつの側面だけから判断するのはいかがなものかと思うのです。
古紙不足の時代に再生紙がホントに環境配慮商品なのか。大きな立場でトータルに考えないといけないのではないでしょうか。
投稿情報: junhara | 2008年2 月 2日 (土曜日) 00:15
>表示より品質の良い製品を納入していたのだから
これは違うのではないでしょうか?
買い手は「一定の古紙が配合されていること」を求めたわけですから、古紙が要求通り配合されていなければそれは買い手の要求する品質を満たしたことにはなりませんね。偽装することによって買い手の要求を満たしたようにだましたわけで、これは詐欺が成立するのではないでしょうか。
また、一連の偽装の結果が環境へどの程度影響を与えたか、という尺度でこの問題を論じるのも的外れな印象です。
「リサイクルペーパーを使う」という買い手の環境配慮行動への意識(これらの中には偽善的なものも含まれていると思いますが)につけこんだ悪質な行為だと私は考えます。
投稿情報: ma-kun | 2008年2 月 1日 (金曜日) 01:56
リサイクルのコストの問題は、環境を声高に唱える人達には、届かない事で、形式だけの問題のように思います。
ペットボトルの節ブログの記事 ご披見ください。
http://plaza.rakuten.co.jp/camphorac/diary/200608130000/
投稿情報: 柳居子 | 2008年1 月27日 (日曜日) 10:25
始めまして。
今回の古紙偽装に関しては同じような疑念を持ちます。
技術的背景、社会的背景(古紙の安定供給の困難さなど)を無視してでも法令を遵守すべきか?
逆に法令は遵守しているが技術的にはイカサマをしている実例などは山ほどあり、これは一切批判されません。(エンジンの燃費・排気ガス・騒音などは法令で指定されている運転パターンで法令をクリアするよう様々な細工が施されています。)
正義の味方気取りでコンプライアンスを叫ぶ人たちは本当の姿が見えているのでしょうか?
投稿情報: 通りすがり | 2008年1 月20日 (日曜日) 09:21
http://www.j-cast.com/2008/01/17015687.html
そもそも無理だったそうです。
上質紙と差のない再生紙も怪しくなってきますね。
投稿情報: kaku | 2008年1 月18日 (金曜日) 12:20