チベット問題の人権抑圧に抗議する人々が世界各地で北京オリンピック聖火リレーを妨害している。妨害活動が連日テレビに流れている。日本でも起きるに違いない。
これに対し、中国国内と世界各地に散らばる中国人の若者がオリンピック聖火リレー妨害行為に反対するデモをしている。今日はマレーシアでチベット支持の旗を掲げた日本人が袋叩きにあったらしい。
若者の異議申し立てにはいつも若者らしい正義があるものだが、今回の中国の若者のデモにはそれが感じられない。
パリで聖火リレーが妨害されたことに抗議してフランスのスーパー、カルフールへの不買運動が中国国内で起きている。聖火リレーが妨害されたのはパリだけではない。ロンドンでもサンフランシスコでもインドでも世界各地で起きている。なぜフランスのカルフールだけに抗議するのか。抵抗できない私企業を人身御供にして鬱憤を晴らしているのなら、現代中国青年も情けない。
私は子どものころから中国史が好きで、歴史書をたくさん読んだ。中国の歴史には義を重んじる人々が数多く登場する。人民を苦しめる皇帝は誅殺しても義にかなう。梁山泊は義を重んじる反体制派の巣窟でもあった。何より民の安寧を重視する中国の大義。それが好きだった。自分の体に流れる先祖の侠客の血と通じるところがある。ジャーナリストの生き方とも共通する。
いつの時代、どこの世界でも、若者の異議申し立てにはなにがしかの大義がある。天安門事件の時もそうだった。だが、今回だけは中国の若者の抗議行動に大義は感じられない。平和の祭典オリンピックを開催する中国の善意が踏みにじられ、プライドが傷つけられたと感じているのかもしれないが、私には「チベット問題は中国の国内問題だ」として真実を明らかにしない中国政府を支持する安っぽい愛国心だけしか感じられない。
IOCは言論、表現の自由がない国でのオリンピック開催は許さない原則を立てる時期に来ている。
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