今回の入院でかかった医療費の総額、というより個人負担の総額は60万円余りだった。このうち国民健康保険の支払い対象となる医療費は33万だった。3割負担だから実際の医療費はその3倍100万くらいかかっている計算になる。残りの個人支払い分はほとんどが差額ベッド代である。
入院する前かかりつけの医師に、「関東病院は最初に入院期間を決めるから安心ですよ」といわれた。何のことか分からなかったが、後になって意味が分かった。
手術担当医師から手術直前に病状、手術の仕方、術後の治療など細かい説明があった。そこで説明された計画からは1日遅れで退院した。計画通りすべてが進み、最短時間で退院したことになる。
やたら入院期間を長くして医療費が高くならないようにしているのだろうか。必要もないのに長期間入院させるのは、それこそ問題。医療費を高騰させる原因になる。
先にも述べたように入院中の保険対象の総医療費は100万。大腸ガン手術でこれが高いか安いかは知らない。問題は患者側の実際の負担である。
退院後生命保険の特約入院保険の支払いを請求した。生損保業界の不払い問題のせいか、対応は迅速で診断書と支払い申請書を送ったら早速保険金が振り込まれてきた。入院期間1日につき8000円という入院給付と成人病の手術特約である。実際の差額ベッドは2万円だから、ずっと個室に入っていたらこれでも間に合わない。
数日前区役所から高額療養費支払いのお知らせがきた。毎月の医療費個人負担が8万8000円(限度額は年収によって異なる)を超える場合、それ以上の差額を補填してくれる制度である。私の場合補填額は23万円余りになる。
これで私の医療費個人負担はほぼまかなえる計算になる。つまり自己負担ゼロで大腸ガン手術を乗り切ったことになる。
この入院収支決算を見て、わが国の社会福祉は充実していると思えるか、どうか。家計に大きな穴をあけなくて済んだという意味では充実している。健康保険の毎月の保険料は高く、今回の医療費は私の国保保険料の2年分に相当するが、きちんと支払ってさえいれば、大病にかかっても経済的には安心できる制度だということはいえる。
公的保険とは別に個人でかけた医療保険があれば、よほどの病気でない限り、医療費の心配はない。しかし、医療費の支払いで生活苦に陥った世帯の話はよく聞く。私の入院はある意味で標準的な病気、標準的な手術だったから制度で救われたのかもしれない。
特殊な事情がない限り日本の医療福祉は信頼するに足るというのが今回の結論だが、毎年福祉予算を2000億円規模で削減する政策が続くと、この信頼感が崩れ去ることは間違いない。
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