首都圏の都市交通と暮らし方についてのアンケート用紙が東京都から送られてきた。面倒くさいからほっておいた。締め切りをすぎてしばらくすると協力への謝意を示すはがきがきた。おかしいな、協力もしていないのに、と思ってよく読んでみた。まだ回答していない人はぜひ協力してくれという催促の一文があった。仕方ない協力してやろうか、とアンケートに記入し始めて驚いた。
無記名なのに、プライバシーがばれそうな項目がずらり。自宅はどこで、最寄駅はどこか、徒歩、自転車などで何分かかるか。自宅の住所は丁目まで記入するようになっているから、これでは容易に番地まで特定できてしまう。
もっと驚いたのは、20年後のわが暮らしはどうなっているかという設問である。家族構成やどこで働いていると思うか、住み替えたいか、住み替えるとしたらどこか、などが並んでいた。
ほっといてくれ。20年後には死んでるわい。死んでなければ痴呆になって住み替えもへったくれもないかもしれない。
それ以上アンケートに記入する気力が失せた。よくよく考えてみたら、なぜ私が回答者に選ばれたのか、だれが調査の責任者なのか、分からない。はがきにあった問い合わせ番号に電話してみた。
回答の締め切りは過ぎているけど。
では用紙を破棄してください。
なぜ私が選ばれたのか。
住民票からの無作為抽出です。
1万人のうち何人が抽出されたのか。
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調査はどこが請け負っているのか。
・・協会です。
老人に20年後の暮らしを聞くなんて無神経ですね。
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複数の自治体が調査しているようだが、まとめ役はどこか。
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これじゃあ回収率低いでしょう。
まだ回収率は出ていません。
回収率が低いから締め切り後でも協力してというはがき出したんでしょう。
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電話に出た人がかわいそうだからこの辺でやめた。住民票からの無作為抽出は個人情報保護の観点から難しくなっていると聞くがどうなのか。どこが調査のまとめ役なのか。個人情報保護につとめるとあるが、これではプライバシーがばれてしまうのではないか。いろいろ聞きたかったが、回答しないことに決めたから、追及しなかった。
東京をさらなる成熟を遂げた美しい街、住み心地のよい街に生まれ変わらせるために、ぜひともご協力を、という同封の石原慎太郎知事のあいさつが白々しく見えた。
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