日本原子力学会秋の大会が22日まで北九州市で開催されている。報道によると、参加者の多くから福島原発事故について反省の弁が語られたそうだ。
私は学生時代、原子力学会の会員だった。学生は会費が免除されていたからだ。卒業後も会費を払わなかったから、数年後に除名された。その間送られてきた学会誌は記者活動にも大いに参考になった。しかし、学会に取材に行くことはなかった。メディアが原子力学会に注目することはまれだった。
今回は福島事故半年後であり、メディアの注目を集めた。それでも報道を見る限り、反省の弁以外に注目すべき発表、発言はいまのところない。
学会メンバーの中には福島に赴き、事故処理や放射能の除染に協力している人たちがいる。だったら、大会をなぜ福島で開催しなかったのか。学会には原発は安全だという人が多いようだが、ならなおさら学会を福島で開催し、福島の安全性を自らアピールすべきではなかったか。福島から最も遠い土地、北九州で開催したのでは、逆にあらぬ疑いをかけられる。来年春の大会も福井である。専門家でさえ福島は敬遠するのかと。
学会開催地が北九州に決まった経緯は知らない。政治家でさえ来年は原子力サミットを福島で開催したいと表明している。原子力専門の研究者の集団である日本原子力学会が率先して福島で大会を開催し、同県の安全を証明し、復旧に貢献するのが筋である。それが反省の裏づけになるのではないか。
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