6月は税金の月。固定資産税、住民税の支払いが待っている。4月に消費税が増税されたばかりだから、今月の税負担は一層重く感じる。
それに引き換え、法人税は減税になるようだ。数年かけて30%以下にするらしい。すでに震災復興の特別法人税は減免されている。一般国民の復興特別加算は減税されていない。
なぜ法人だけが優遇されるのか。いままでもたくさん批判記事がメディアに登場したが、安部政権は聞く耳を持たぬようだ。
法人税減税は日本企業の国際競争力を維持するために必要だと安部首相はいう。
だが、重い法人税負担はホントに国際競争力をそぐ原因なのだろうか。過去の異常な円高が主な原因ではないのか。円高で企業は海外生産比率を高めてきた。国内生産は伸び悩み、消費を冷え込ませた。長期のデフレ不況の主犯は法人税が高かったからだろうか。その辺の説明を阿部首相から聞いたことがない。
最近、日本の有名ブランド製品でも実はメードイン外国が多い。10年以上使っても壊れない日本製家電製品の中に、すぐお釈迦になるものがある。いつから日本ブランドはこんなに品質が低下したのか、と驚くことがある。
日本企業を国内に留め、雇用を確保するためにも法人税減税だという。しかし、法人税はまだ下がってないのに国内の雇用情勢は人手不足になった。
法人税は企業が稼いだ最終利益に課税される。赤字になれば払わなくてもいい。年間2兆円の営業利益をあげるトヨタがこの5年間法人税を払っていなかったことが国会で問題になった。
個人だと所得から基礎控除や配偶者控除を差し引いた課税所得に税がかかる。年金生活者である私の支出はほとんどが消費支出である。
現役時代の課税比率は30%を超えていた。つまり個人の場合は手元に残った最終利益ではなく、頭から課税される。家計収支が赤字になろうがどうしようが課税は逃れられない。
かつて法人税率は50%くらいだった。それを30%以下にしようというのだから、不公平このうえない。
海外には法人税率の低い国がある。タックスヘイブンといって法人税を優遇する国もある。
企業は税を逃れるためにそれらの国を利用する。国民が課税逃れをしたら脱税で捕まる。
そもそも日本企業は日本という環境で戦後大きく成長した。治安がよく、労働者は勤勉、インフラも整備され、戦争の危険もなかった。そして1億人の消費者市場がそばにあった。
輸出型だろうと国内消費依存型企業だろうと、企業にとって日本は格好の立地場所だった。
いまでもその好条件は労賃の高さと為替レートを除けばほとんど変わっていない。
最近は途上国の労賃も上昇してきた。海外に立地する条件は相対的に低下している。
日本には企業が立地する好条件を備えている。それでも法人税を減税する理由はあるのだろうか。税はその国で生活する人、法人であれ個人であれ、みなが等しく良い環境を維持するために負担するものだ。
法人税率が国際比較で高いというのであれば、国際条約で税率を公平にする努力をなぜしないのか。公平な国際競争を求めるTPPで交渉のテーブルに乗せたらどうか。法人税優遇で企業を自国に立地させようとする政策はアンフェアではないか。企業の国境を越えた脱税を摘発する税当局同士の協力はすでに始まっている。
自分だけ法人減税を求める企業、財界、自民党政府は国民をなめているとしか思えない。
コメント
コメントフィードを購読すればディスカッションを追いかけることができます。