コニカミノルタがデジカメ、フィルム市場から撤退する。ニコンが一眼レフから撤退するニュースもあった。カメラ業界の大変動を示すニュースである。デジカメ市場からカメラの老舗が撤退する中で、一度は日本市場から撤退したものの再参入するメーカーもある。米国のコダック社である。すでに昨年から競争激しい日本市場への再参入を果たしているが、2月からはユニークがデジカメを投入して日本市場の再開拓に乗り出す。
新規に投入するデジカメはレンズ一体型の機種だが、レンズを二つ備えた二眼カメラ。20ミリ相当の超広角レンズと117ミリ相当のズームレンズである。超広角では狭い部屋でも大勢の人が一度に撮影できるし、望遠なら遠くのものも撮影できる。水平にパーンして3枚の写真を撮ると、カメラが自動的に3枚をつなぎパノラマ写真に変換してくれる機能がついている。
ユニークな機能を付けないと、競争が激しい日本でシェアはとれない、という発想からだ。コダックは米国ではデジカメでトップのシェアと持っている。しかし、日本では再参入後も1%前後のシェアに甘んじている。他社のまねできない技術で巻き返そうという戦略だ。
コダックはフィルムメーカーの印象が強いが実は100年以上前に使い切りカメラを発売、カメラの大衆化に貢献した歴史がある。デジカメの開発でも先鞭をつけたが、なぜか日本のデジカメ市場ではぱっとしない。フィルム分野もデジカメの普及で大打撃を受けている。
米国流経営では、過当競争でもうからない市場から撤退するのは当然の判断だが、なぜ再参入するのか。コダックによると、市場は確かに過当競争だが、日本の消費者は世界でもっとも厳しい選択眼を持っている。IT技術の競争も世界で最先端を走っている。この市場で脱落したら、今後起きるさらに厳しいITやデジタル家電の競争に耐えられない。歯を食いしばってでも競争についていく覚悟が必要だ、というのだ。
利益なき繁忙に耐えきれず撤退するか、利益なき繁忙も次世代を見越して耐えるのか。カメラ業界のみならず、ITの大波を受けている業界はどこも同じような決断を迫られる時期に来ている。
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