ASPとかSAASを知ってますか。ASPはアプリケーション・サービス・プロバイダー、SAASはソフトウエア・アズ・ア・サービスの略。企業が自分で情報システムを構築したり、パッケージソフトを購入したりしなくても、これらの企業にネットワーク経由で委託すると簡単にIT化ができるビジネスの形である。社内に高度なノウハウを必要としないし、投資もかさまないから、大企業から中小企業まで利用することが可能である。この数年で大きな成長を見せている。一般消費者もメルマガやブログサービスで知らず知らずに利用しているかもしれない。
情報サービス産業は売上高は大きいけれど、ほとんどは大手に独占され、多くの企業は下請け孫請けに甘んじている。その中で、ASPというビジネスは大手に依存することなく事業化できることから、情報サービス産業の自立発展に寄与するのではないかと期待していた。その業界のNPO法人であるASPICジャパンがASP大賞を設け、優秀なサービスを表彰することで業界を後押しすることになり、このほどグランプリはじめ大賞受賞者が決まった。
http://www.aspicjapan.org/index.html
実はこのASP大賞を選考する審査委員を頼まれていた。審査するほどの専門知識はないが、中小企業発展のために役立つのであれば、と引き受けた。
書類審査とノミネートされた企業のプレゼンテーションを聞いての審査で、正しい選抜ができるのか、不安だった。ユーザーの声を丹念に聞いて回らないと審査はできないのではと思ったが、審査委員による投票結果は大きなばらつきはなく、案外公平、公正な審査だったのではないか、と考えている。受賞者はASPICのホームページでご覧いただきたいが、それぞれおもしろいサービスが選ばれている。
ただ、グランプリが外資だったことが気がかりだ。得票が多かったのだから仕方ないが、ASPで大手のくびきから開放されたと思ったら今度は外資に市場を奪われる恐れが出てきたことを意味する。特に米国の情報サービスが優秀であることは分かっている。日本語の壁ももはや貿易障壁とはならない時代である。今後多くの外資が進出することが予想される。
国内大手もその成長性に目をつけ参入している。ASPに委託する企業は企業秘密に属するデータを預けるのだから、大手の方が有利になる場合もある。ASP分野こそ大手や外資に牛耳られない自立した発展を望みたいところだ。そうならなければ日本のソフト産業の前近代的産業構造は変わらない。ASPという分野が自立できなければ今度こそ日本のソフト産業は壊滅する。
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