薬害肝炎訴訟で被害者一律救済の立法措置がとられる。司法と行政の枠組みを超えた救済をするためだそうだ。役人の抵抗を排除することができない行政の長たる首相とはどういう存在なのだろうか。一律救済を首相が決断しても野党が反対するわけでもないのに。不思議である。
サリドマイドから薬害エイズ、そしてC型肝炎まで、薬害情報をつかみながら対策を怠ってきた薬事行政。役人に不作為の作為を繰り返させないために、どういう対策が必要なのか。被害者救済以上に大事なテーマだ。今国会中に成立させる法案にやっつけ仕事で盛り込めるのだろうか。
薬害防止対策の難しさには、様々な側面がある。薬害情報を知っていて対策を怠る役人の不作為はそのひとつに過ぎない。薬害情報には科学的根拠があるのかどうかという論争が対策を遅らせることもある。製薬会社の収益に直結する問題でもある。医師の不勉強も原因かもしれない。肝炎問題の存在を国や施薬会社から伝えられても患者に知らせていない医師がたくさんいた。
間違った薬害情報で本来救えるはずの患者を救えないことも起きうる。同じ薬品でも患者によって副作用が出る場合と出ない場合がある。
薬害情報を入手したジャーナリストはその科学的根拠が明白になるまで書くことを控えるべきか、いち早く伝えるべきか、という問題もある。薬害問題を防ぐには結果的に間違った報道をしても過失や損害賠償責任を問われないようにすることも必要ではないか。
そんなことを考えると今回の緊急立法で根本的な薬害対策など期待できない。あまりにも時間がなさ過ぎる。
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