古い本を探していたら、学生時代に書いていた日記が出てきた。ぱらぱらめくっていたら、学生時代に書いたリポートが出てきた。当時大学に提出したリポートが返却されることはなかったが、なぜその一本だけが返却されたのか記憶にない。
テーマはエネルギー資源論。読むと偉そうなことを書いている。今とは逆に石油価格が下落、タンカー運賃も劇的に安くなり、国内石炭産業が不況に陥った時代である。エネルギー産業の行方は、政治や経済状況が関わるから、技術革新は万能ではないという結論である。
当たり前のことをリポートしているのだが、ああでもない、こうでもない、とよくも偉そうに書いたものだと、我ながら感心する。
私がつとめる大学の講義では毎回リポートを学生に書かせている。これまでは講義した後リポートを書かせていた。今期は講義する前にリポートを出させるようにした。テーマの範囲と例示をするだけで、あとは自由にリポートせよ、という逆手を使った。提出率が激減した。何を書いていいのか、分からないからに違いない。
普段考えていることでいい、とはいっているが、学生は戸惑っていることがよく分かる。習ったこともないテーマで自由にリポートした経験などないのだから。小中学校で出した自由研究は親がかりで書いていたのだろう。
社会に出れば手元に材料がなくてもリポートしなければならないことの方が多い。材料がなければ調べるしかない。リポートしやすいテーマを上司が命じることなどありえない。学生にとって自由とはかえって辛いことなのかもしれない。
私は期末試験はしない。その代わり毎回リポートは義務づけている。リポートの評価基準も最初に示している。だが、提出率が低い。さて、今学期はどうやって成績をつけようか。
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