中国は逮捕された中国人船長の釈放を要求していたが、自国民の基本的人権さえ軽視する中国が1漁民の釈放にそもそも熱心であるはずがない。真の狙いはもっぱら尖閣諸島周辺の海底資源の確保だとされているが、経済問題を対日外交のカードに使うのなら、今後の日中経済協力など望むべくもない。
そんなことを考えていたら、当の那覇地検が船長を釈放してしまった。学生デモの公務執行妨害と同じ扱いだ。民主党政権の介入が勘ぐられているが、温情でお灸をすえて釈放したのなら、尖閣周辺で違法操業をしたら今後もどしどし拿捕するぞという声明くらい出してほしかった。
靖国問題で反日運動が起きた時はまだ中国の事情を理解できたが、今回の問題は理解に苦しむ。国内の親中国派も困るだろう。
尖閣領有権問題は棚上げして、日中で共同開発することになっていたはずだ。過去の約束も簡単に反故にする国とはまともに付き合えない。中国人は信義に厚いと思っていたが、買いかぶりだったのか。
それにしても日本の資源外交は進歩がない。かつての石油ショック。中東依存が90%を超え、調達先の分散と備蓄、エネルギー源の多様化が叫ばれた。備蓄と多様化はそれなりに進んだが、中東依存率はほとんど変わらない。レアアースの中国依存度が高すぎることは以前から分かっていた。にも関わらず、輸入先の分散、備蓄はほとんど進んでいない。石油と同じ轍を踏んでいる。日本は歴史に学ぶ姿勢がない。中国韓国からいわれる通りである。
レアアースを輸出禁止にするならハイテク部品の対中輸出を止めろという声が出てくるのは目に見えている。報復に報復でこたえていたら、戦前の二の舞である。話の通じない国が厳然と存在することを前提に日本は政策を遂行しなければならない。他国でレアアースの資源開発を急ぐ。海水からレアアースを抽出する技術開発を急ぐ。打つべき手は分かっているはずだ。中国のしたたかな外交に振り回され、ずるずると日中戦争に引きずりこまれた轍を踏んではならない。
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