ネットと子どもたち協議会が27日、子どもたちをネットの危険からどう守るかを、東京都の竹花副知事に提言しました。都はこれを青少年健全育成に生かす方針だそうです。
提言は上記のサイトで読めます。ネットの害から子どもたちを守ることにだれも異論はないと思いますが、この提言にはいくつか疑問があります。
ネットの匿名性を抑制する、安全モードをデフォルトにする、プリペイド携帯の規制、などの具体策を提言していることです。
匿名性は確かに犯罪を呼ぶ大きな要因ですが、一方で言論、表現の自由にとって欠かせない要素でもあります。提言は社内告発などには匿名が有用であることを認めていますが、匿名性をネット社会から排除することはかえって民主主義社会にとって危険であることを認識してもらいたいところです。
プリペイド携帯が犯罪に利用されやすいことは事実ですが、販売の時に本人確認をしっかりやっていればいいことで、それがいまだに実現できないのは、サラ金被害者が住民票を脅し取られるなどの社会的背景があるからで、プリペイド携帯自身の問題ではありません。坊主にくけりゃ袈裟までの発想です。
ネット社会の危険を回避する最も有効、確実なのはやはり、子どもたちにネットについての知識、危機回避のノウハウを植えつけることだと思います。ところが大人たちより子どもたちのリテラシーの方が高く、大人が教えられないことこそ問題です。
ネット上には悪い人もいますが、それよりもっと多くの善意の人がいます。提言は家庭、学校、地域、NPO、企業、行政が連携して子育ち環境を支援するあったか家族支援ネットの形成を呼びかけています。しかし、多くの善意の人が子どもたちを見守るにはどうすればいいのか、具体策はありません。
この日、群馬大学の下田教授が「子ども社会の情報化と大人の責任」という特別講演をしましたが、彼が子どもたちのために実践しているボランティアの活動(http://www.netizenv.org)、つまりネットの何が危険なのか、どうすれば危険を回避でき、解決できるかを教える地道な活動が必要なのだと思います。このような活動のノウハウを伝授してもらえれば、私も参加したいと考えています。
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