原発事故現場で決死で働く自衛隊員や消防隊員はしっかりと防護体制が整っている。各自が線量計を持ち、限界線量に近づくとアラームが鳴る。しかし、市民は線量計など持っていない。どこまでなら、いつまでなら安心なのか分からない。ベクレルだのシーベルトだのグレイだのといわれても実感がない。放射線は浴びても痛くもかゆくもない。どう対応したらいいのか、分からないからよけい不安になる。
土壌や野菜の汚染も伝えられている。ホウレンソウ、牛乳は飲んで、食べて大丈夫なのか。メディア経由で専門家に「このレベルなら大丈夫」といわれても安心できない。汚染地域の作物の出荷が差し止められたという情報もある。牛乳、ホウレンソウが汚染されているなら他の作物も汚染されているだろう。危ないから出荷しないのだろう、と庶民は考える。どこまで安全なのか、どうなったら危ないのか、判断する材料がない。
もっとも気になるのは飲料水の汚染である。水は毎日飲む。その他の食糧はどうなのか。日々食べる食糧トータルで安全なのか危険なのかを示す方法はないのか。
放射線の影響は年齢によっても異なる。幼児と高齢者では違う。もっと具体例ごとにリスクを表示できないのか。
被曝線量の表示はシーベルトである。1時間値と年間値と同じシーベルトである。1時間値を年間値に換算するには、24x30x12倍すればいい。この計算式だとすぐ危険なレベルになってしまう。瞬間で計測された高い線量も1時間後には低下している場合もある。つまり積分値で考えねばならないはずだが、だれも計算していない。それに放射性物質には半減期があり、すぐに減衰する核種もあれば何十年という長い半減期を持つ核種もある。土壌や食糧の汚染は体内被曝をもたらす。空気中の放射線より危険である。
こうした関係をだれでも分かる形で示すことはできないはずがない。東電や政府の発表を信用してほしいというなら、分かりやすい表現努力も必要だ。
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